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2015年4月30日 (木)

本棚の旅■森の子トール/竹宮恵子

書 名/森の子トール
著者名/竹宮恵子
出版元/小学館
判 型/B6判
定 価/450円
シリーズ名/プチコミックス・竹宮恵子作品集2
初版発行日/昭和54年3月15日
収録作品/森の子トール、スーパーお嬢さん(原作・辻 真先)

初出:森の子トール/小学館「週刊少女コミック」昭和45年3~7号、スーパーお嬢さん/虫プロ商事「ファニー」昭和44年5~10月号

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 作品集第2巻には、中編『森の子トール』と辻 真先原作の『スーパーお嬢さん』の2作品が収録されていた。
『森の子トール』。真面目で勉強好き、父親のお気に入りの少年ルイは、本当は森の中で自由に駆け回るのが大好きで、トールという別人として父親の目を盗んで仲間たちと遊んでいた。そこにミルという少女が現れて…、というストーリー。設定や展開的にはいたって少女漫画的な作品。強いて言えばルイとトールという正反対の性格を持ったひとりの少年という存在が竹宮らしいところか。これはのちのち描かれ続ける陰のある少年たちに共通するキャラクターの原点なのかもしれない。
『スーパーお嬢さん』はガリアという星から地球に星流しにされた不良少女、胡桃ナナが活躍するSFコメディ。辻 真先の原作付き、さらには「ファニー」という多少読者対象年齢が高めの雑誌に発表されたということもあり、ナナのビジュアルは竹宮作品としては異色なセクシー系美女。石森章太郎の『ワイルドキャット』を彷彿させる。
 この作品集が刊行されたころ、竹宮作品の単行本はそこそこの冊数が出ていたわけだが、それでも未単行本化作品は多く、作品集で初めて単行本に収録されたものが多かった。本書に収録の2作品もこれが初収録であり、初期の竹宮中・長編作品に触れるいい機会だった。

2015年4月29日 (水)

本棚の旅■アストロツイン/竹宮恵子

書 名/アストロツイン
著者名/竹宮恵子
出版元/小学館
判 型/B6判
定 価/450円
シリーズ名/プチコミックス・竹宮恵子作品集1
初版発行日/昭和54年2月15日
収録作品/ルナの太陽、ラブバック、白い水車小屋、アストロツイン

初出:ルナの太陽/講談社「なかよし」昭和44年3月号、ラブバック/講談社「なかよし」昭和45年1月号、白い水車小屋/集英社「小説ジュニア」昭和45年2月号、アストロツイン/講談社「なかよし」昭和45年4~6月号

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 本書は小学館から刊行された竹宮恵子の作品集、第1巻である。先行して「萩尾望都作品集」、「上原きみこ名作集」が刊行されていたが、この単行本のシリーズ名は「プチコミックス」だった。
 竹宮の作品集としては「サンコミックス」の単行本でも「傑作シリーズ」と冠されたものがあったので、2種類目という見方も出来る。収録作品も一部重なってもいて、本書収録の作品では『ルナの太陽』がそれにあたる。
 収録された4作はいずれも初期作品になるが、SFあるいはSF風味の作品を中心に編まれている。『ルナの太陽』は竹宮の最初のSF作品で、ロボットが主人公のハートフルな内容。古典的なSF作品の香りのする佳作と言っていいだろう。
『ラブバック』は意思を持った車が登場する作品で、SFラブコメディと言ってもいいと思う。レースシーンが登場するなど、「なかよし」に掲載されたにしては少年漫画的な雰囲気の濃いものになっている。
『アストロツイン』は扉ページに「フレッシュSFコメディ」と冠されているように、ドタバタ調のSFラブコメディ。発明家の父のエアカーに乗っていたら、未来から1970年にタイプスリップしてしまったルウという女の子と、サブという主人公の少年が出会うのだが、ひょんなことからお互いの頭を触れ合うと考えていることがわかることが判明。ふたりは双子なのでは? という疑惑に発展するが、ルウを追って来たトニーという少年に、それはお互いの脳の電波が同じ「アストロツイン」だと知らされる。テレパシーやタイムトラベルなどを特に解説もなく使用しているのは、発表された時期の「なかよし」の読者にどう受け取られたのか気になるところではある。もっともドタバタ調のコメディというベースがあるのでSF用語などは逆に流していく方向にあったのかもしれない。
 本作中、初出時には広告掲載スペースだった余白に「あとがき」的な書き込みがされているのだが、それによると少年漫画ばかりを読んできた竹宮にとって、少女漫画をどう描いたらいいか、悩んでいたということだ。結果、中性的な「児童漫画」を目指したということで、『アストロツイン』はそんな試行錯誤の時期に描かれたものだという。確かに本書に収録された作品は「少女漫画」よりも「少年漫画」の匂いのするコマ割りや構成であるし、そのまま少年誌に掲載されていても違和感のないものだったようにも思える。
 いずれにしても竹宮作品の原点に触れる感覚を味わえる、そんな作品が収録された一冊になっている。

2015年4月28日 (火)

本棚の旅■ノルディスカ奏鳴曲(ソナタ)/竹宮恵子

書 名/ノルディスカ奏鳴曲(ソナタ)
著者名/竹宮恵子
出版元/白泉社
判 型/新書判
定 価/360円
シリーズ名/花とゆめコミックス
初版発行日/1981年2月25日
収録作品/ウィーン協奏曲(コンチェルト)、ノルディスカ奏鳴曲(ソナタ)、アルファルファくん奮闘す、つばめの季節

初出:ウィーン協奏曲(コンチェルト)/集英社「りぼんデラックス」昭和51年冬の号、ノルディスカ奏鳴曲(ソナタ)/白泉社「ララ」昭和55年12月号、アルファルファくん奮闘す/小学館「週刊少女コミック」昭和53年24号、つばめの季節/白泉社「花とゆめ」昭和49年8月号

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『ウィーン協奏曲(コンチェルト)』『ノルディスカ奏鳴曲(ソナタ)』の2編は、同じ生島 玲を主人公にした作品。15歳にしてウィーンの音楽院に留学したピアニストで、竹宮のファンという設定になっており、竹宮本人やアシスタントなども作中に登場する。大好きなクラシック音楽を題材に自由に描いているという印象もあり、作者がノッているのがうかがえる。
 1作目『ウィーン協奏曲(コンチェルト)』の冒頭では、玲が初対面の竹宮に「自分の言葉を持っている人」と言うシーンがある。自分は音楽、竹宮は漫画、それぞれの言葉を持つという点で「同志」だと。表現者としての竹宮にとっての「まんが」に対する意識がうかがあるシーンでもあるだろう。
 とはいえ、作中では「そのままの自分」だったり、「信じたままに」といった意味のことが繰り返されてもいて、どこか「漫画家竹宮恵子」に迷いがあったあと吹っ切れたのだろうかという気もしてしまう。
 竹宮はそんな玲を「生意気」だと感じるのだが、たぶん竹宮本人もその年齢の頃には生意気な漫画少女だったのではないだろうか。
『アルファルファくん奮闘す』はドジな男の子を主人公にしたラブコメで、『つばめの季節』は教師を目指す大学生の女の子が主人公のハートフルな短編。どちらもよくまとまった佳作だが、一般的な少女漫画ともいえ、竹宮的なひねりや毒がないのが意外な気がしてしまう。また『つばめの季節』は竹宮には珍しい国内を舞台にした作品だ。関西弁も作中には頻繁に出てくるのだが、昭和49年当時関西弁がいまほど全国的に知られていなかったのか、たとえば「なんぼ(いくら)」「きけへん(きかない)」など標準語が併記されていたりする。これも時代か。
 収録された作品すべてが、読後感のさわやかなハッピーエンドというのも竹宮の単行本にしては珍しいかもしれない。

2015年4月27日 (月)

本棚の旅■夏への扉/竹宮恵子

書 名/夏への扉
著者名/竹宮恵子
出版元/白泉社
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/花とゆめCOMICS
初版発行日/1976年5月20日
収録作品/夏への扉、ホットミルクはいかが?、まほうつかいの弟子、ゆびきり、あとがき

初出:夏への扉/白泉社「花とゆめ」昭和50年19号~20号、ホットミルクはいかが?/小学館「週刊少女コミック」昭和47年5号、まほうつかいの弟子/小学館「週刊少女コミック」昭和48年6号、ゆびきり/講談社「なかよし」昭和41年1月増刊号

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 少女漫画の単行本は、集英社の「マーガレットコミックス」や講談社の「KCフレンドコミックス」などが、昭和40年代半ば頃から刊行されていたが、昭和50年には小学館の「フラワーコミックス」、白泉社「花とゆめコミックス」などのシリーズが加わり、さらに朝日ソノラマの「サンコミックス」が少女漫画の刊行に力を入れ始め、少年漫画に比べて単行本化の機会少なかった少女漫画も単行本化されることが普通になり始めていた。ことに昭和51年は、竹宮作品に関していえば、「サンコミックス」「フラワーコミックス」そして本書の「花とゆめコミックス」と立て続けに単行本が刊行された時期だった。
 表題作である『夏への扉』は「花とゆめ」に前後編として掲載されたもので、ヨーロッパを舞台にした思春期の少年を描いた作品だ。
 少し背伸びをしたような主人公の少年の行動が、仲間たちに支持され、そしてその行動が仲間たちを分裂させていくという展開は竹宮作品にはありがちなもので、竹宮作品ばかりを立て続けに読んでいるとちょっと食傷ぎみになってしまう嫌いはあるのだが…このジャンルの作品の代表作といってもいい完成度であるのは確かだろう。また直接的な表現はないもののセックスに言及している点でも、本作は評価しておきたい。また「あとがき」には、本作に登場する「大人の女性」サラが竹宮の理想の女性と記されている。
 SF好きな人にとってはハインラインの同名タイトルの小説を思い出すとは思うが、これは小説のコミカライズではない。その点、ちょっと肩すかしを食ったような、残念な感じがしないわけでもないが、「夏への扉」というタイトルから連想された別の物語という見方はできるのかもしれない。
『ホットミルクはいかが?』は、最悪の出会いをしたふたりが惹かれ合い、結ばれるという少女漫画らしい少女漫画といえる作品。ポイントは音楽を扱っていることで(ヴァイオリニストとチェリストが登場する)、竹宮の音楽好きがここでもうかがえる。
『まほうつかいの弟子』もラブコメ風ファンタジーと言っていい作品。ここでは「まほう」として扱われているが、その後の作品では「超能力」としてSF作品として描かれる表現もあり、当時の少女漫画においてはファンタジーとして仕上げることが無難だったのではないかという気もしてしまう。
『ゆびきり』は、「あとがき」によればこの時点での「唯一の時代劇」。もっとも時代劇とはいえいつの時代なのかは曖昧。かぐや姫をベースにしているところもあり、その時代の設定なのかもしれない。もっとも内容的に時代劇として扱う必然性はあまり感じないし、時代設定が曖昧でも問題のないものではある。ここで描かれるのは少女の成長なのだが、竹宮が一貫してテーマにしていたのは少年や少女の成長であったことも改めて思い起こされる。その意味ではこの初期作品は竹宮作品の原点のひとつなのかもしれない。

 本書に収録された作品は表題作を除けば「花とゆめ」以外に掲載された初期作品であり、この時期の竹宮の単行本はそれまで単行本未収録だった作品の収録が多く、ファンには嬉しいものだったろう。

2015年4月26日 (日)

本棚の旅■ここのつの友情/竹宮恵子

書 名/ここのつの友情
著者名/竹宮恵子
出版元/小学館
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/フラワーコミックス(FC-151)
初版発行日/昭和52年1月5日
収録作品/ここのつの友情、ジョージの日曜日、アンドレア、会話、漫画狂の詩、<デビュー記念作>とわたし

初出:ここのつの友情/小学館「週刊少女コミック」昭和46年30号、ジョージの日曜日/小学館「週刊少女コミック」昭和49年27号、アンドレア/小学館「別冊少女コミック」昭和51年10月号、会話/白泉社「LaLa」昭和51年9月号、
漫画狂の詩/小学館「週刊少年サンデー」昭和50年8月5日増刊号

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 本書は「少年シリーズ①」とカバーに記されている。
『ここのつの友情』は、デビュー前に投稿作品として描かれたもののリメイク。『ジョージの日曜日』はその後日談である。
 金髪に青い目の少年ジョージは、日本育ちで日本語もペラペラだが、その外見から周囲の人には敬遠され、自分でも殻に閉じこもるような状況だった。主人公の朗は、偶然ジョージと知り合い親友となり、ジョージが心を開いて仲間を作っていくのを見守る。
 実を言うと、この作品を読むまでは、9個の友情という意味だと思っていたのだけれど、実際は9歳という意味でした。
『アンドレア』は「ウィーン少年合唱団」を描いた作品で、合唱団ものの初期作品。作者本人とその親友が登場する、フィクションとノンフィクションが交錯した作風は、その後のシリーズにも踏襲されている。
『会話』は、親友の双子の姉に恋するトッポが描かれているが、「あとがき」によれば、トッポとその親友サリュウの長い物語の一部とのこと。雰囲気からは、トッポと男女の双子の三角関係が想像されるのだが…。
 最後に収録されている『漫画狂の詩』は「楳図かずお伝」のサブタイトルで、楳図かずおについて描かれたものなのだが、竹宮本人が面識のないところで仕事を請けていて、結果的に伝記というより、楳図かずおの印象を描いている。ある意味「永遠の少年」とも言える楳図かずおだから、「少年シリーズ」として収録してしまっても間違ってはいないかもしれない。
 全体として、前向きな明るい傾向を持った作品ばかりで、ドロドロとした愛憎や一度踏み込んだら抜け出せないような異世界が描かれていないことが、逆に意外な作品集だ。もっとも、この明るさは作者本人の印象に近いのではないかと思ってしまうのだけれど。
 ちなみに『ここのつの友情』の扉ページは、タイトルも含めてアシスタントを使わず竹宮恵子がひとりで描いたとのことである。

2015年4月25日 (土)

本棚の旅■ガラスの迷路/竹宮恵子

書 名/ガラスの迷路
著者名/竹宮恵子
出版元/小学館
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/フラワーコミックス(FC-141)
初版発行日/昭和51年12月5日
収録作品/扉はひらく いくたびも、ガラスの迷路、暖炉、ガラス屋通りで、わたしの宝物・ほかイラスト、ガラスの迷路・創作ノート、作品によせて

初出:扉はひらく いくたびも/小学館「別冊少女コミック」昭和50年6月号、ガラスの迷路/小学館「週刊少女コミック」昭和46年9月号、暖炉/小学館「週刊少女コミック」昭和46年12月号、ガラス屋通りで/小学館「別冊少女コミックちゃお」昭和48年4月

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 本書は「ガラスシリーズ①」とカバーに記されている。カバー折り返し部分には「著者のライフワークのへんりんをのぞかせ」「その一作、一作がさまざまな問題をのこした問題作!」としるされている。ライフワークとされるのは本書刊行当時に連載中で話題作であった『風と木の詩』、つまり少年愛を指しているのだろうし、問題作というのは、編集側からのイヤミにも取れてしまうのだが、どうだろうか。
 作者のあとがきでもある「作品によせて」には、ガラスにまつわるものを「ガラスシリーズ」としたとある。確かに『ガラス屋通りで』をシリーズの一作に数えるのならその通りだと思うが『扉はひらく いくたびも』『ガラスの迷路』、また本書には収録されていないが『七階からの手紙』を読む限り、ガラス=少年という印象が強く、ガラスという物理的なモノとして作者が想定していたわけではなかったのでは、と思える。シリーズ作品を単行本に集めるということで、多少強引にシリーズとしてまとめた感もなきにしもあらず、といったところか。
『扉はひらく いくたびも』と『ガラスの迷路』は同じマモルという少年が登場する。ある意味シリーズ作品らしく、根底でつながっているエピソードだ。またシリーズ3作目にあたる『七階からの手紙』に登場するイポリート同様に病弱な少年である。純粋で繊細な少年を描くことが、本来の「ガラスシリーズ」の趣旨だったのではないかと、この3作からは推測されるのだが…。収録順的に『扉はひらく~』『ガラスの迷路』と読んでいくと「なるほど」と思えるのだが、初出を見ると発表は逆になっている。『ガラスの迷路』を描いた後で、その前段階にあたる『扉はひらく~』を描いたことになるようだ。
『暖炉』はレイモン・ラディゲの『肉体の悪魔』の感想文として描いたと「作品によせて」には書かれている。一読して感じたのは『夏への扉』の原型ということ。純粋な少年の恋を描いているという点では「ガラスシリーズ」に含められたのも頷けるところか。
『ガラス屋通りで』はメルヘンチックなファンタジーで、竹宮らしい作品のひとつと言っていいだろう。作者も気に入っているもののひとつだという。

 正直な話し、ある時期から竹宮作品はあまり読みたいと思わなくなっていたのだけれど、一度読み出すとその世界に引き込まれてしまっていることに気づく。テンポのよさとかセリフ廻しのうまさとか、いくつか要因はあると思うが、竹宮の才能なのだろう。本書もそんな竹宮の実力を思い知らされる一冊だった。

2015年4月24日 (金)

本棚の旅■ロンド・カプリチオーソ/竹宮恵子

書 名/ロンド・カプリチオーソ(全2巻)
著者名/竹宮恵子出版元/朝日ソノラマ
判 型/新書判
定 価/350円(2巻とも)
シリーズ名/サンコミックス・竹宮恵子傑作シリーズ
初版発行日/昭和51年12月30日(2巻とも)
収録作品/ロンド・カプリチオーソ

初出:小学館「週刊少女コミック」1973年10月号~

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『ロンド・カプリチオーソ』は『ウェディングライセンス』に続く連載作品。フィギュアスケートをテーマにしたストーリーで、兄弟の愛憎が描かれている。
 個人的にフィギュアスケートには興味がなく冬季五輪もまったく見ないのだが、一般的にはスケート選手の人気は芸能人並で連日マスコミを賑わせているのは承知している。とはいえこの作品が連載されていた当時、スケートがこれほど注目されていたかといえば、そうでもなかったのではないかという気がする。それを示すように作中、ところどころにフィギュアスケートに関する用語の説明も見られる。
 世紀の天才といわれたスケーターの父を持ち、その後継者として成長している14歳のアルベル。完璧とも言えるそのスケーティングではあったが、6歳の弟ニコルに父は自分の夢を託していた。兄弟の間に生まれる愛憎はこれを発端に、スケート技術で、そして愛する女性を巡って複雑に廻り始める。
 自動車事故により両親は死亡。ニコルも視力を失ってしまうのだが、それでも天性の才能はニコルにスケートをあきらめさせない。本作の本当のドラマはここから始まるといっていいだろう。
 その作品の多くで、シリアスな展開の合間にもコメディ調な表現を描くことの多い竹宮が、本作ではシリアスに徹しているのも本作の特徴といえるだろう。ニコルは才能を認められながら失明するが、それ以前に体が弱く、心臓に疾患がある。ニコルの純粋な性格が悲劇をより一層色濃くしていくという展開は竹宮作品にはよく見られるものかもしれない。
 ところで、本作は語り手の回想から始まる。この手の演出は珍しいものではないし、漫画を始めとして小説や映画等で使われるものでもあるが、竹宮作品において語り手の回想で始まる作品がけっこう多いのではないかという気がするし、竹宮作品の特徴といえるのではないだろうか。

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2015年4月23日 (木)

本棚の旅■ウェディングライセンス/竹宮恵子

書 名/ウェディングライセンス(全2巻)
著者名/竹宮恵子
出版元/朝日ソノラマ
判 型/新書判
定 価/350円
シリーズ名/サンコミックス・竹宮恵子傑作シリーズ④⑤
初版発行日/昭和51年9月1日(2巻とも)
収録作品/ウェディングライセンス、1巻巻末に全作品リスト

初出:小学館「週刊少女コミック」1973年4月号~8月号

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 本作は竹宮恵子の長編ラブコメディ。竹宮作品にしては「正統派の」といってもいいかもしれない。
 主人公は神学校に通う学生だが、父がマフィアのボスであり、その父が暗殺されたことで母によって無理やり二代目ボスの座に着かされてしまう。口をきくこともなく遠くから眺めるだけのような憧れの女の子がいたのだが、マフィアのボスになってしまったことで、その恋もあきらめなければ…と少女漫画的なストーリー運びになっているが、ボスになったことで身の回りの世話をする小姓が着き、ルスというその少年は、主人公リバティに同性愛的思いを寄せたりして、竹宮カラーが濃厚になっていく。
 神父を目指していた少年が、いきなりマフィアの世界に放り込まれるということで、主人公の周囲の環境変化や、父を暗殺した相手の推測、マフィア内の陰謀等への疑心暗鬼と、さらには自身の正体を隠しての憧れの女の子へのアプローチなど、一気に読んでしまえるスピード感のある展開になっている。とはいえ、タイトルである「ウェディングライセンス」がなにを意味するのか、かなりあとにならないとわからないし、勢いで付けてしまったタイトルについて体裁を整えるような、ちょっと強引なところが見えないわけではない。もしかすると編集者から「『ウェディングライセンス』というタイトルのラブコメでお願いします」と押しつけられたのかと疑ってしまうところもある。あるいは描き始めてから当初の予定以上にマフィアのボスになってしまった主人公の活躍にのめり込んでしまって、後半軌道修正したのかもしれない。
 作品自体は最初にも述べたように正統派のラブコメだし、コマ割りなどの画面構成もしっかりと少女漫画的なものになっているのは確かなのだが、たとえば最初の1ページ目、主人公の父が暗殺されるシーンを見てみると、少女漫画というよりは横山光輝作品のような印象を受ける。これは竹宮本人が石森章太郎を筆頭に少年漫画からの影響を強く受けていることにも起因しているのだろうが、その少年漫画的な部分が、竹宮作品に男性読者が少なからずいたことの要因にもなっているのはないだろうか。少女漫画的な内容や画面構成ではあっても、少年漫画的な匂いがして読みやすかったのではないかという気がする。このあたりは後の吉田秋生の作品にも共通することだろう。

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2015年4月22日 (水)

本棚の旅■ジルベスターの星から/竹宮恵子

書 名/ジルベスターの星から
著者名/竹宮恵子
出版元/朝日ソノラマ
判 型/新書判
定 価/350円
シリーズ名/サンコミックス・竹宮恵子傑作シリーズ③
初版発行日/昭和51年6月30日
収録作品/ジルベスターの星から、真夏の夜の夢 ミッドナイト・ドリーム、ハートあげます、ヒップに乾杯、ブラボー!ラ・ネッシー、ルナの太陽
こぼれ話/竹宮恵子
「愛・変革・そしてメッセージ」/大沢健一(TVディレクター)

初出:ジルベスターの星から/1975年3月「別冊少女コミック」、真夏の夜の夢 ミッドナイト・ドリーム/1975年5月「別冊少女コミック」、ハートあげます/1970年5月「月刊ファニー」、ヒップに乾杯/1971年5月「別冊少女コミック」、ブラボー!ラ・ネッシー/1973年9月「少女コミック」、ルナの太陽/1968年12月「月刊なかよし」

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 朝日ソノラマの「サンコミックス」における「竹宮恵子傑作シリーズ」の3冊目はSF作品を集めたものになった。これは初めて買った竹宮の単行本だったと思う。表題作である『ジルベスターの星から』は個人的に竹宮作品の中でも大好きなもののひとつ。
 70年代前半まで、SFコミックは少年のものだった。
 石森章太郎もかつて少女マンガ誌にSFコミックを発表したが、読者の支持は得られずに終わり、少女マンガ誌においてSFジャンルは敬遠される傾向にあったのは事実だったろう。それでもSFが好きな少女漫画家は育ってきていて、萩尾望都が『11人いる!』を、そして竹宮がこの『ジルベスターの星から』を発表するに至ったわけだ。SF風の少女漫画や、SFをベースにしたラブコメではない、「SFコミック」であることを強調したい。
 正直なところ少女漫画を本腰を入れて読もうと思うようになったキッカケは本作であり、萩尾の『11人いる!』だった。それは少女漫画にも本格的なSF作品があるじゃないかという驚きと発見に他ならない。
 竹宮がSF小説のファンであることは本作品の余白(初出時には広告スペース)に『デューン』について触れたものがあることでもわかるが、本作に登場するロケットは横山光輝に影響を受けたのではないかという印象もある。もっとも本書カバーイラストに描かれているロケットはもっと抽象的なイメージになっているが。
 端的に言って本作品は悲劇的な話である。少年漫画やSF小説だったら、悲劇的な部分だけが印象に残るものになっていたのかもしれない。だが、少女漫画というロマンをベースに置いたジャンルの上で描かれた本作品は、余韻の残る名作に仕上がっている。SFコミックのアンソロジーを編むとしたら絶対に外せない作品のひとつだ。
『真夏の夜の夢』は『ジルベスターの星から』の2か月後に発表されたものだが、冒頭の降り始めた雨のひと雫目を受け損なう少年のシーンが今でも印象に残っている。どうにもセンチメンタルなシチュエーションだが、最初に読んだ当時妙に共感したのを覚えている。
『ハートあげます』と『ヒップに乾杯』は同じ主人公の登場するシリーズもので、「こぼれ話」によれば、もっとシリーズ作品を描くつもりだったとのこと。残念ながらその機会には恵まれなかったようだ。70年、71年と初期の作品で画的にはまだまだ垢抜けていない印象が残るが、ストーリーやテンポは竹宮カラーが出来上がっている。読者としてもっとシリーズ作品は読んでみたかった気がする。
『ブラボー!ラ・ネッシー』はSFコメディと言えるものだが、SFと言い張っているのは作者だけなのかもしれない。
『ルナの太陽』は68年発表の、竹宮にとって最初のSF作品になるようだ。ピノキオ的なロボットを主人公にしたハートフルな作品である。
 改めて本書を読んでみると充実した内容だったといえる。収録された作品の内容もそうだが、竹宮恵子のSF作品の代表的なものを集めている感もある。竹宮のSF作品というと『地球へ…』などの長編や『集まる日』といった超能力テーマの作品が挙げられがちだが、実のところ本書に収録されたような作品にこそ竹宮SFの本質があるのではないかという気がしてならない。

2015年4月21日 (火)

本棚の旅■七階からの手紙/竹宮恵子

書 名/七階からの手紙
著者名/竹宮恵子
出版元/朝日ソノラマ
判 型/新書判
定 価/350円
シリーズ名/サンコミックス・竹宮恵子傑作シリーズ②
初版発行日/昭和51年5月20日
収録作品/七階からの手紙、ナイーダ、トゥ・リップルくん、ロベルティーノ(旧題・愛の調べにのせて)、星くずたちの夢
こぼれ話/竹宮恵子
ボクの竹宮恵子さん/大沢健一(TVディレクター)

初出:七階からの手紙/1974年3月「週刊少女コミック」、ナイーダ/1971年8月「週刊少女コミック」、トゥ・リップルくん/1971年8月「週刊少女コミック増刊号」、ロベルティーノ/1972年3月「別冊少女コミック」、星くずたちの夢/1971年12月「週刊少女コミック冬の増刊号」

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 朝日ソノラマの「サンコミックス」から刊行された「竹宮恵子傑作シリーズ」の2冊目は、明るい雰囲気の漂う作品が集められている。『風と木の詩』以前に代表作として知られた『空が好き!』に通じる雰囲気を持った作品たち、といえばわかりやすいだろうか。
 竹宮恵子は少年愛をテーマに据えない作品でも「少年」を描くことが好きで、ギャグシーンが多かったりコメディー調の、読後感がさわやかな作品群がある。そういった作品群と「少年愛」「SF」というジャンルに、竹宮作品の主なものがカテゴライズできるだろう。
 表題作『七階からの手紙』の最後には「ガラス・シリーズ No3」と記されている。昭和51年11月に小学館の「フラワーコミックス」から刊行された『ガラスの迷路』が「ガラス・シリーズ」を集めたもののようだが、この作品もそのひとつということになる。幼年期から思春期になろうとする少年たちを、美しく壊れやすい、はかない存在として「ガラス」と表現したのだろうが、竹宮らしいといえばらしい。
 また『ロベルティーノ』は、巻末の大沢健一の解説中、作中のセリフを引用したあとに(『空が好き!』「ロベルティーノ』より)としているので、『空が好き!』のシリーズに含まれる作品であるようだ。もっとも、タグ・パリジャンは登場しないし、単独の読みきり作品として読めるものになっている。
『ナイーダ』は同人時代の作品を改作したもの。『トゥ・リップルくん』はドタバタコメディ。『星くずたちの夢』はアマチュア時代の仲間たちとの夢を元にしているのだとか。
 いずれにしろ70年代前半の竹宮恵子初期作品を堪能できる作品集であることには間違いない。
 古書店で見かけるなどしたら、ぜひお手にとってみてください。

2015年4月20日 (月)

本棚の旅■サンルームにて/竹宮恵子

書 名/サンルームにて
著者名/竹宮恵子
出版元/朝日ソノラマ
判 型/新書判
定 価/350円
シリーズ名/サンコミックス・竹宮恵子傑作シリーズ①
初版発行日/昭和51年5月20日
収録作品/サンルームにて(旧題・雪と星と天使と)、ほほえむ少年、20の星と夜、スター!、ミスターの小鳥
竹宮恵子のこと/石森章太郎
こぼれ話/竹宮恵子
ひらかれた扉のカギ/大沢健一(TVディレクター)

初出:サンルームにて/1970年12月「別冊少女コミック」、ほほえむ少年/1972年月「別冊少女コミック」、1973年7月「別冊少女コミック」、1974年8月「別冊少女コミック」、ミスターの小鳥/1975年12月「少女コミックちゃお」

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 本書はサンコミックスにおける竹宮恵子の最初の単行本であり、70年代後半、少女漫画が注目されはじめた時期の刊行と重なり、少女漫画が、竹宮作品が、女性読者のみではなく、男性読者の目にも触れ始めた時期とも重なっているといえるだろう。
 巻末には作者のあとがきである「こぼれ話」のほか、石森章太郎のコメント、TVディレクター・大沢健一のコメントも掲載されていて、朝日ソノラマが竹宮恵子の作品を刊行するにあたって力を入れていたことが見て取れる。もっとも、サンコミックスと石森章太郎との縁は深く、その辺りの関係から竹宮恵子の作品集の刊行が始まったということもあったのではないかと思う(竹宮は石森の直接のアシスタントというわけではないが、デビュー前後に石森スタジオを尋ねたり、近しい関係ではあったようだ。また絵柄的にも石森の影響を受けていた)。
 70年代の前半は、まだ初期作品といっていい雰囲気が漂うが、本書収録作品が発表年で並べられていることから、次第に絵柄が固まっていく様子も見ることができる。その意味でも本書は竹宮ファンには見逃せない一冊ともいえるだろう。
 さて、収録作品だが、巻頭に収録され、単行本のタイトルともなっている『サンルームにて』は重要な作品だといえるだろう。というのも、本作が少年愛を扱ったものであること、登場するふたりの少年が、その後に描かれる『風と木の詩』の主人公たちの原型となっているといえるからだ。いや、キャラクターだけではない。この作品こそが『風と木の詩』に発展して行ったということだろう。「こぼれ話」では、締め切りが迫ってもネームができない状況の中で、友人から「少年愛をテーマに」と勧められ、発奮して完成させたとあり、当時から少年愛を描くということに熱意を持っていたこともうかがえる。また本書の刊行が昭和51年の春であり、『風と木の詩』の連載開始時期と重なっていることも、本作が傑作シリーズの第一巻のタイトル作品として選ばれた理由ではないかとも思える。
 ストーリーは、空き家になっていた屋敷のサンルームを、自分の城として入り浸っていた主人公セルジュ(やはりジプシーの血筋)が、新しい屋敷の住人の子供である兄妹と出会い、親しくなっていくというもので、始めのうちは三人で、サンルームの中で空想に耽る遊びに夢中になっていたものの、しだいにセルジュを巡って兄と妹が取り合いのようになっていくという展開。少年愛を絡めなくてもこれはこれで成立するストーリーだとは思うが、そこは少年愛というテーマをストレートに出すには環境が整っていなかったということなのかもしれない(もちろん作品自体は少年愛を描いていることも十分にわかるものになっている)。
 次に収録されている『ほほえむ少年』も少年愛をテーマにしていて、こちらの方がよりテーマを抑えて描かれている。画家の主人公とそのフィアンセ、そしてモデルの少年という登場人物だが、基本的なところは『サンルームにて』の語り直しと言っていいだろう。
『20の昼と夜』は、双子だがそれまでその存在自体を知らなかった兄弟が出会うというもので、こちらも双子の少年の近親相姦という少年愛テーマの作品。
『スター!』も、この流れから言うと少年愛が裏のテーマとしてあったと言ってしまっていいのかもしれない。「こぼれ話」では「『無理心中ですね』と言われた」とあるが、それならば尚更、少年愛テーマというものが見えてくる。
 最後に収録された『ミスターの小鳥』だけが他の作品とは趣を異にするもので、コメディー調の、老人が主人公のもの。65歳のガンコじいさんが登場しているのだが、いま竹宮恵子は65歳という年齢をどうとらえるだろうか。

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