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2013年1月27日 (日)

ニューハーフという生き方■ニューハーフ雑誌アーカイブ①「トランスセクシャル」

 これまでいくつかのニューハーフ専門雑誌が書店の店頭に並べられてきたが、その歴史自体はそれほど古いものではない。「ニューハーフ」という言葉自体が80年代に作られたものであることからもそれは明らかだろう。
「シーメール白書」「ニューハーフ倶楽部」といった一般書店のアダルト本コーナーに並んだ専門誌のほかに、通販やアダルト本専門書店にだけ卸され販売されていた、いわゆる直販誌があったことをご存じだろうか。今回はその直販系ニューハーフ専門誌のひとつについてご紹介したいと思う。
 直販誌というのは、80年代にビニール本ブームのおり増加したアダルト専門書店(いわゆるビニ本屋)に向けて、取次書店を通さずに流通していたアダルト誌を主に指す。直販誌の出版社はいくつかあったが、東京では「ジャクソン」という版元がロリコン誌を中心にかなりの量を手がけていた。もともとがビニール本から始まっているので、雑誌の体裁もグラビア誌、写真誌に近い形状であったが、全ページをカラーで制作するのはコストもかかるので記事ページなどのモノクロページで半分くらいを埋めていたようだ。
 直販系のニューハーフ誌というのは、実は「シーメール白書」よりも創刊が早い。それだけ時代に敏感な業界だったとも言えるだろう。「ジャクソン(誌面上は丹青書店/ペガサスブックスと表記)」からは「トランスセクシャル」そして「ハーフセクシャル」の2誌が刊行されたが、まもなく「シーメール白書」などが取次経由でも創刊したりして、それぞれ短命に終わった。もっともビニール本書店でアダルト本を買う層にニューハーフ誌のニーズがなかったというのが実態かもしれない。
「トランスセクシャル」の版元は前述した通り「ジャクソン」という会社だったが、ここは編集作業は外注の編集プロダクションに一括していた。「トランスセクシャル」の編集作業はAV監督としてのちに知られることになるラッシャーみよし氏ひきいる「ラッシュ」という編集プロダクションだった。
 直販誌は制作経費も少ない。したがって取材や撮影もコンパクトに予算を組むことになる。「トランスセクシャル」でも都内(主に新宿近辺)のニューハーフパブやまだ都内にも数件しかなかったニューハーフヘルスを中心に店内での取材・撮影が中心になっていた。もっともラッシャーみよし氏がからんでいることもあり、ビデオ版「トランスセクシャル」なども発売されたことで、ビデオ撮影に併せてのグラビア撮影も行われていたようだ。
 誌面はいま見るとやはりモノクロページは大胆なまでに大雑把。同じ写真をネガ状態で掲載したり見開きで1枚の写真を使ったりしていて、明らかに撮影の手間を省いている。記事の方はグラビアに登場したニューハーフのインタビューや、誰とはわからないニューハーフ達の告白(これはライターの創作かもしれない)など。ニューハーフ雑誌としてシリーズ発行された、当時唯一のものだけにこの内容でもマニアには貴重だったはずだ。
 それにしても懐かしい顔が並んでいる。
 いまはニューハーフクラブやヘルスの経営者となって第一線からは退いているあの人や、当時人気だった「彼女」を見るのは何年ぶりだろうか。
 ビニール本の流れをくむ直販誌ではあったが写真自体はそれほど過激なものは少なく、ぼかしやモザイクのあるグラビアは皆無といっていい。それどころか着衣(下着も含めて)での写真が大半という印象である。これはぼかしやモザイクの処理が面倒ということもあったと思うが、時代的に「ニューハーフ」としての魅力にまだ世間が目覚めていない時期ということもあったのではないかという気がする。女性の体にペニスがついているという今であれば当然の象徴的な部分を、この当時はまだ隠しているのである。女性のようなルックス、でもほんとはついてるのよという雰囲気をかもしだしていた。
「トランスセクシャル」は最終的に7号まで刊行され終了した。誌面中の版元の広告では創刊号や第2号などは残部希少扱いになっていて、予想よりは売れていたようだが、全体のニーズとしてはまだまだというのが実態だろう。
 ところで「トランスセクシャル」が刊行された背景には、テレビなどにニューハーフが
出演していたということもあげられる。深夜番組はもちろん昼間のバラエティー、そしてゴールデンタイムのバラエティーにもちょくちょくニューハーフ(主に六本木などのクラブ所属のニューハーフたち)が出演していた。もちろん準芸人的な扱いではあったが、ニューハーフという存在が世間一般に知られるようになったキッカケではあっただろう。そこに特殊ビデオに詳しいラッシャーみよし氏が注目してニューハーフをテーマにまず雑誌から、と手がけたというところだったのではないかと思う。
 先にも述べた通り低予算で仕上げられたのは誌面からも一目瞭然で、巻頭グラビアの写真はインタビューページその他で使い回されており、1ページ大、見開き大で1枚の写真を使うなど極力掲載写真の点数を抑えるような編集・レイアウトになっている。なかにはバカバカしすぎる企画(女の子の写真とニューハーフをならべて、ニューハーフは誰かというクイズのようなもの)もあったりする。
 結果的にこの「トランスセクシャル」が直販系ではありながらそこそこの存在感を示したことで「シーメール白書」など取次書店系の雑誌の創刊につながったわけで、その意義は小さくはない。また一部のマニアにしか知られていなかったニューハーフヘルスの存在を広めたという功績もあるだろう。すでに一部では制作されていたニューハーフAVも本誌の存在によって市場が広がったはずだ。そういった意味でその後のニューハーフメディアの基礎となったということは間違いないと思える。
 当時も直販ということで広く知られることはなかったが、いまとなってはその存在自体知る人も少なくなっていることだろう。それでなくてもアダルト系雑誌の書誌などハッキリしないものが多いのであるから、こういった機会に記録しておくことも意義があることだと思う。ことにニューハーフ専門誌としては外せない位置にある雑誌のひとつなのだから。
 

「トランスセクシャル」
発行元:丹青書店/ペガサスブックス(ジャクソン)
編集:ラッシュ
刊行時期:1990年代前半(直販誌のお約束で発行年月日の記載は無い)
刊行巻数:1~7+別巻

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初出:ニューハーフ時代

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