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2012年6月16日 (土)

本棚の旅■ホメロスの世界/藤縄謙三

書 名/ホメロスの世界
著者名/藤縄謙三
出版元/角川書店
判 型/文庫
定 価/260円
シリーズ名/角川文庫
初版発行日/昭和50年12月30日
収録作品/ホメロスの世界

 本書は『イリアス(イーリアス)』『オデッセイア』の作者として知られるホメロスに主眼を置きつつ、2作品について考察したものである。
 正直この2作品のタイトルは知ってはいたものの、ホメロス作とされる叙事詩として読んだことはなく、のちの作家が物語として構成したものを読んだ程度ではある。したがって作者とされるホメロスに関しても取り立てて知識があったわけではない。むしろ本書によってホメロスなり、2作品について知りたいと思ったような感じである。
 まず著者は、第1章でホメロスとその時代背景、また2作品の舞台となる時代について考察している。
 興味深いのは、ホメロスが吟唱詩人であり、2作品はまず文字として書かれたのではなく吟唱から始まっているだろうと指摘している点である。著者も言っているように、現在われわれは文字による表現や記録に優位性を持ち、口頭での表現に対していささか不信感を持っている点がある。しかし著者は、言葉として、音として表現することは、その音の大きさやスピードなど、文字には表現できない微妙なものがあり、必ずしも文字による記録が優れているわけではないと指摘する。言われてみればその通りで、ホメロスが吟唱詩人であればなおのこと、その作品はまず言葉として発せられていたはずで、文字による記録はその後からされたと考えていいだろう。また、文字化自体がホメロスその人によるものかどうかすら疑わしい点もあるだろう。そのあたりの詳しい考察は本書をお読みいただければと思う。C・ラムによる小説化された『オデッセイア』、『オデッセウスの冒険』のちくま文庫の翻訳版では、翻訳者の序文として、ホメロスを「盲目の詩人」と紹介しているが、この盲目ということも、本書の著者は疑問を投げかけている(もっとも盲目だったのが事実とすれば、文字化したのは別人ということにもなろう)。
 第2章では『イリアス』を、第3章では『オデッセウス』を取り上げ、その内容、作品の舞台となった時代等について考察している。またこの2作品に於ける内容・テーマの扱い方についても、作品の舞台となった時代と、ホメロスが生きた時代とを比較して考察していて興味深い。
 本書は大変興味深い内容であると共に、読物としても優れていて、一気に読み通してしまった。これまで漠然としていたホメロスの作品だけではなく、紀元前のギリシアについてもこれまでの知識に倍して勉強になった。

 本書は昭和50年の刊行であるが、初刊はその十年前ということが著者のあとがきに記されている。またその10年間に取り立てて新しい発見も研究も進んでいなかったとして、初刊とほぼ同じ内容のまま文庫化したとのことである。その後新たな発見があったかどうかは分からないが、たぶん本書の内容を大幅に書き換えなくてはならないような事実はないのではないだろうか。その意味においてはこれから本書を読んでもその内容は充分に活かされるだろう。

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