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2009年6月15日 (月)

涼風家シネマクラブ■大怪獣ガメラ

監督/湯浅憲明、特殊撮影/築地米三郎
キャスト/船越英二、山下潤一郎、安美千子、霧立はるみ、北原義郎、ほか。
1965年/日本/78分

 1965年当時、東宝ではゴジラシリーズの『怪獣大戦争』などが公開されていて「ゴジラブーム」的な時代だったと思う。そんなとき「大映でも怪獣映画を」ということから社長命令で制作されたという話しが伝えられている。この当時、前後して松竹では『宇宙怪獣ギララ』、日活では『大巨獣ガッパ』が制作・公開されているが、ゴジラに対抗するようにシリーズ化できたのは、このガメラだけである。

 すでにアイドル的な方向に傾きかけていたゴジラに対し、恐怖の対象として大怪獣を登場させるにあたって、モノクロを選択したのは正しかっただろう。正直なところ、以後の「子供の味方」になったガメラの方を先に観てしまっているので、巨大ガメの恐怖感というのは感じられない(これを最初に観たとしても同じだったかもしれないが)。しかし巨大な生き物が街を破壊していくというモノクロの映像の迫力は十分で、映像的には成功していると思う(ちなみに、スタッフ座談会によれば、大映としての最初の本格的な特撮映画ということもあり、技術的なこともあって、スタッフからモノクロでの制作が進言されたらしい)。
 古代アトランティスの伝説に語られる巨大なカメと火喰いガメという伝説を合わせ、さらにジェット噴射で空を飛んでしまうという突飛なアイデアもうまく処理してストーリーの中に収めている。
 ガメラ出現の発端は、北極海で核弾頭を搭載した国籍不明機が撃墜されたことによる核爆発であるが、ゴジラのようにその背中にテーマを背負ってはいない。
 確かに当時の、東西冷戦の状況や、始まったばかりの国内の原子力発電も顔を見せてはいるが、ガメラはあくまでも、ただ巨大なだけの生物という位置づけであり、その動物の本能によって街が破壊されたりするのである。これは、その後の『ウルトラマン』に登場する怪獣に近いもので、怪獣は自然災害のようなものという思想である。
 人間の身勝手な開発によって、生息環境を失った野生動物が街に現れて騒ぎになる、というのは現実にも見られるが、それと同様のことが巨大な生物によって起こされたというものと考えればいい。
 ガメラに、人類に対する明確な敵意はない。生きるためにエネルギーを欲し、発電所を襲う。とはいえ人間社会に相いれない怪獣を野放しにはできない。そこで「ガメラを倒せ」ということになるのだが、通常兵器は核弾頭の爆発にも耐えたガメラには通用しない。そこで計画中だった火星探検ロケットに乗せて宇宙に追放しようという「Zプラン」が実行されることになる。
 通常兵器の効果がないからという消極的な理由ではあっても、生きたまま地球の外に追い出そうとするところに、人類を敵視し破壊を続けるのだからとにかく抹殺しようとする「ゴジラ」との違いを感じる。ラストシーンも、「ゴジラ」が抹殺されながらも暗鬱な雰囲気を残すのと違い、大空に向かって「ガメラ、さようならあ」と手を振る少年の笑顔というすがすがしいものである。
 また、「ゴジラ」が第1作が常に基本にされるのと違い、「ガメラ」ではそのルーツではあってもこの第1作が特別視されることはない。
 確かにゴジラ同様、第3作からガメラの性格も変わっていくのだが、それでも人類と同じ地球に生きる生命のひとつという概念からだろうか、分離して捉えられることは少ないようだ。ゴジラのように死んでいないこともその理由にはあるかもしれない。
 まずは、シリーズ後半とは違った凶暴なガメラの造形を楽しむのが、本作の観方のひとつかもしれない。
 

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