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2006年3月23日 (木)

涼風家シネマクラブ■美しき運命の傷跡

KIZU

美しき運命の傷痕
監督・脚色/ダニス・タノヴィッチ
キャスト/エマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン、キャロル・ブーケ、ジャック・ベランほか
2005年/フランス=イタリア=ベルギー=日本合作/102分

『トリコロール』シリーズなどで知られる、キェシロフスキ監督の遺稿を、『ノー・マンズ・ランド』のタノヴィッチ監督が映画化した。もともとこの作品は、「天国」「地獄」「煉獄」という3部作の第二章「地獄」であり、愛を巡る苦悩が描かれている。
 それは家族愛(親子愛)であり、夫婦愛であり、恋愛である。

 子供ころ、父親をなくした3姉妹は、それぞれ大人になり、別々の暮らしをしている。結婚し、ふたりの子供を持つ長女のソフィは、夫の浮気に悩まされている。浮気相手を突き止め、ふたりが密会するホテルにまで乗り込んでいく。このあたり、スリラーかホラーかと思うような、緊張する演出で、ドキドキ感もいっぱい。目が離せません。
 次女・セリーヌは、年老いた母が暮らすホームに通う毎日。独身で恋人もいない。男性に対してある種の嫌悪感を抱いていながらも、自分を愛してくれる人を求めているようだ。そんなセリーヌに近づくひとりの男。彼はセリーヌばかりではなく、家族に関する重大な秘密を知っているのだった。
 三女・アンヌは、年上の既婚者と不倫していたが、突然別れを切り出され、どうしていいかわからなくなってしまう。 3人の姉妹が、それぞれの愛に悩み、苦しむ姿は、この映画を観るアナタにも思い当たる場面が、きっとあるのではないだろうか。少なくとも、彼女たちの感情や、行動を、同じ女性として、共感や嫌悪として理解できると思う。
 原案が「地獄」と題されているだけに、愛を求めながら苦しまなければならない登場人物たち。しかし「愛」とは、そんな一面を確かに持っているだろう。
 ときには激しく、ときには静かに、愛を求め、愛をそそぐ女たち。
「それでもわたしは後悔していない」という母の言葉は、姉妹達が共有する気持ちだったのかもしれない。愛するということは、それがどんな結末を迎えても、後悔しないということなのかもしれない。

「微熱」06年5月号掲載

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コメント

エマニュエル・ベアールは大好きな女優の一人です。永遠の処女性と大人の色香を漂わせる貴重な女優ですよね。

「男性に対して嫌悪感を抱きながらも自分を愛してくれる人を求める」というのは、私も同じだと感じています。意識するからこそ嫌悪も生まれる、つまり異性を追求してやまないのかもしれません。憎しみと愛情は表裏一体であるといつも思います。
「愛するということはどんな結末を迎えても後悔しないこと」奥深い言葉ですね。
すべてを受け入れる、ということが愛情なのでしょうか。ありのままの自分、ありのままの相手を受けとめるということ、かな。
そんなことを頭に置いてこの作品を観たら、自分の中に答えを見つけられるかもしれない、そんな気がしました。

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邦題:美しき運命の傷痕 原題:L' ENFER 英題:HELL 監督:ダニス・タ [続きを読む]

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