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2005年5月18日 (水)

猫目ユウの、本大好き!

第四回〔路傍のピクニック〕

 ボクの子供の頃、幼稚園から小学校低学年には「ウルトラマン」を代表する第一次怪獣ブームがあり、小学校高学年には第二次ブームと「仮面ライダー」など等身大ヒーローを多く輩出する変身ブームが吹き荒れた。と同時に外国のSFドラマ、「タイムトンネル」や「サンダーバード」「謎の円盤UFO」などもTVでたて続けに放映された。考えてみれば、昭和四十年代と言うのはそういう時代だったようで、ボクのSF好きみたいなところはきっとこの時期に作られていったのだと思う。
 中学、高校で早川文庫等でSFをよく読んだが、やはり米英作家か日本の作家のものが主で、ヨーロッパはもちろんソ連の作品というのはこちらで手を出す以前に、翻訳が少ないというのも事実だった。その中でも異色として知られるストルガツキー兄弟について少し書こうと思う。
 どうしてA&B・ストルガツキーの『ストーカー』に興味を持ったのか良く憶えていないのだが、その少し前にレムの『ソラリスの陽のもとに』などを集中的に読んでいた流れで、東欧物として手に取ったのかも知れないし、カバーの写真(タルコフスキーの映画からのスチール)が目を引いたのかも知れない。また、ストルガツキー兄弟についての予備知識というのは、ソ連の現代作家であるということ、翻訳は数編があるだけということ、位であった。
 読後の感想は、一言でいってショックだった。ここにはボクが慣れ親しんだアメリカ的、或いはその影響を受けた日本のSFには見られないものが多くあった。
 SFのジャンルで言うと、この作品はファースト・コンタクト物にあたるが、とにかく着眼点がユニークで、地球に異星人らしき一団が訪れたらしい、ことくらいしか読者には情報が与えられない。もちろん作中の人物たちにもはっきりしたことは分かっていない。異星人が訪れた場所一帯は、それ以前と比べ変質してしまっており、地球の常識の通じない場所として閉ざされ、“ゾーン”と呼ばれることになる。そのゾーンに侵入して変質した様々な物品、異星人が残していったらしいものなどを持ちかえり、売りさばくのがストーカーと呼ばれる一種のアウトローであり、主人公のレドリックもその一人である。タイトル(原題)の『路傍のピクニック(または道端のキャンプ)』はこうした点をふまえて付けられている。邦題はタルコフスキーの映画からタイトルが採られた。つまり彼ら(異星人)にしてみればピクニックの途中、ちょっと休憩に立ち寄ったにすぎないような出来事も、そこにいたわれわれ人類にとっては大事件だった、というものなのだ。
 こういったアイデアの良さ、というよりボクらの虚をついて目のウロコを取ってくれる様なところは『収容所惑星(原題・有人島)』でも見ることが出来る。この作品は、地球上ではダメ青年の主人公が宇宙に出て冒険を繰り返し成長してゆくと言うものであるが、思わず引き込まれてしまうストーリー展開とショッキングな結末は『ストーカー』に負けず劣らずの出来である。
 ある意味でこれら西洋の読者に喜ばれる作品が、旧体制のソ連で非難の対象にされるところも多かったのだろうが、出版という点でストルガツキー兄弟はずんぶん不運な目を見ている。その辺りは作品の解説などで深見 弾氏が多く語っているので参照いただくとして、ここでは割愛する。
 ここ数年は早川書房の『波が風を消す』(「収容所惑星」「蟻塚の中のかぶと虫」につづくシリーズ三作目)の他は群像社からシリーズとして六点ほど翻訳が出ている。
 兄のアルカジイは九〇年秋に亡くなってしまった。ソ連の状況を見るにつけ、これからがストルガツキー兄弟活躍の時代であったと思わずにいられないだけに、大変残念である。ご冥福をお祈りいたします。
〔おわり〕

初出/「TOWER」森海社刊・92年

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